アンドレイ・ジェルタノーク先生を想いながら・・・

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多分大学2年生の頃。試験後。

本日11月30日は、故アンドレイ・ジェルタノーク先生のお誕生日。
大学入学前から大学卒業まで、親身になってレッスンしてくださった先生です。

先生は、あのセルゲイ・ドレンスキー教授の門下。
ナウム・シュタルクマンのアシスタントを務められていたこともあります。

作陽ではとても長い間教えていらっしゃり、1年間で8,9ヵ月は日本に滞在していた先生。
日本の音楽やピアノ教育についてかな?も研究、論文を執筆していらっしゃいました。

大学の頃は毎年先生のお誕生日に門下生で先生への色紙を書いて、先生にみんなでサプライズをしていましたね。

とある年の11月30日。

身長が2メートル近く!?と、とても大きく、サングラスをかけていたことも多かった先生。
はじめは(私も含め)ビビる学生も多かったはず。

作陽モスクワコースでは、1,2年生の間にチャイコフスキーの小品を6曲ほど勉強する必要があります。
ジェルタノーク先生の元だと、入学後最初の公開演奏会では絶対にチャイコフスキーを弾かなくてはならず……。

チャイコフスキーの四季より数曲を選んだのですが、レガートやら音のバランスやらもうすべてが細かい!地獄!!!(笑)

入学後2,3ヵ月はもうメンタルがヘロヘロになりながら、レッスンに通っていた記憶があります(笑)

けれどもその後は、私が勉強したい曲を主に勉強させてくださいました。
ロシアものはもちろん、フォーレなどフランスものも、ショパンもリストも、ちょっと珍しいオペラの編曲やシマノフスキまで……。

何を持っていっても文句は何ひとつ言わず、音楽と、学生としっかり向き合ってくださいました。

レッスンでは、音・声部のバランス、音の流れやレガートについての言及が主でした。
前の音から次の音へ、どう持っていくかについては本当に厳しかったです。
「なんだね、その流れは!」
と、おっしゃった後に弾く先生の音は、いつも優しく滑らかな演奏でした。

時には机をバンバン叩くこともあった先生。

けれど、本当に学生思いでした。

急に消えたと思ったら、わざわざ違う版の楽譜を印刷してきてくださったり、何か私が思い詰めているときはとても気にかけてくださいました。

2年生のときに、伴奏法と室内楽の授業に加え、外部のソロの演奏会に初めての三重奏(しかも、演奏会当日初対面のお兄さんお姉さんと一緒に演奏)……と、パニックになっていた(ときに、唯一支えて気にかけて「大丈夫だよ」と言ってくださったのは、ジェルタノーク先生でした。

「すべてを完璧にこなさなくては。授業も全部受けなくては」と必要以上に思っていた私でしたが、ジェルタノーク先生には「僕だって本番直前はそう理由を話して授業を欠席していたよ。今一番大事なことに集中するといいよ」と言われて、なんだか救われた気持ちになったのをよく覚えています。

その後も食堂の近くであったら「ダイジョウブ、ダイジョウブ」と日本語でいいながらハグしてくださいました。優しいでしょ。

とはいえ、なんとなく緊張してしまい、先生とはあまり雑談みたいなのはしませんでしたが、卒業前のレッスンで、私がヘビカフェでヘビと遊んでいる写真を見せると目を輝かせながら見てくださいました。多分住んでいる世界線は同じだ……←

卒業試験でプロコフィエフ2番協奏曲の伴奏をしてくださったのは本当にいい思い出ですね。
試験では時間の都合上1楽章しか演奏できなかったため、卒業後に2楽章以降をレッスンしてもらいに倉敷に遊びに行こうかなぁ!と思っていましたが、私の卒業式の日に永眠されました・・・。

最近は、1年生の頃にレッスンに持っていって唯一先生に「まだ早いよ!」と言われてしまったリストのソナタを引っ張りだして練習しています。
あの頃は楽譜から音起こすことで精いっぱいでしたが、(まだまだではあるけれど)曲の奥深くや、密かに関係している部分などの繋がりも見えてきて「先生が言いたかったのはこういうことだったのかなぁ」としみじみ感じています。

そんなジェルタノーク先生の演奏は、今でもネットで聴くことが可能です。
http://pianofiles.narod.ru/
↑展覧会の絵が聴けます。

こちらが先生のホームページ。
http://senseipiano.narod.ru/
アドレスが『senseipiano』なことに、先生らしいな、と、にやけてしまいます。

そんなことで、のんびり思い出しながら書いているうちに日付が変わってしまいました。
しかし、モスクワは6時間遅れているので、まだ11月30日……いいでしょう!

久しぶりにジェルタノーク先生のことをゆっくりじっくりと思い出して、穏やかな気持ちです。
また明日から頑張ります!先生ありがとう!

ジェルタノーク先生 プロフィール

1972年、ハリコフ(現ウクライナ)で生まれる。
1978年から1990年、ハリコフの音楽学校で学び、在学中に複数のコンクールで入賞。
1990年、モスクワ音楽院へ入学。セルゲイ・ドレンスキーのクラスで学ぶ。
1995年から1997年はモスクワ音楽院の大学院で学ぶ。
音楽院在学中も国内外の複数のコンクールで入賞。
1996年からナウム・シュタルクマンのアシスタントとして働く。
2003年からはくらしき作陽大学モスクワ音楽院特別演奏コースにて教鞭をとる。

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この記事を書いた人

山口紺碧|音大卒クラシックピアノ弾き|【AnyaPlus】動画・デザイン制作・物書きのお仕事もしてます|YouTube【ピアノ弾きアーニャちゃんねる】

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